切手とポストカード

ひと昔前の記念切手には、古美術にも関係のある素敵な図柄のものも多いような気がします。

国宝や文化財、著名な芸術家たちの作品を身近に感じてほしいという意図だと思います。

それにしても、オリジナルの作品の一部を切り取って

切手という画面に収めただけにもかかわらず、これだけの存在感。

惹き付ける魅力は何でしょう。

もちろん構図やデザインの妙もあると思います。

オリジナル作品の実物を目にすれば、その迫力に圧倒されるわけですが

小さな限られた空間に閉じ込められた作品の一部からでさえ伝わってくるのは

作品そのものが圧倒的なエネルギーを秘めており、

精神性や哲学といったものがあふれ出ているということなのでしょう。

きっとそれが本物の証なのだと思います。

 

ポストカードにも惹かれるものがあって、美術館に行くと、

その日いちばん印象的だった作品のポストカードを求めるようにしています。

それらのポストカードは、大切な方にお便りしたり

自分用に額装して飾って楽しむこともあります。

機会があれば大切な方にプレゼントすることもあります。

 

 

石川県立美術館に展示されている、古九谷の鳳凰の平鉢。

修行中から本で見てすごい品物があるものだと思っていましたが

修行が明け富山に戻ってから、実際にガラス越しに対峙したときは本当に感慨無量でした。

(今でも館に行けば手に入るのですが)10数年来手元にあったこのカードを

最近、ある方の古希のお祝いに(手書きの文章を添えて)差し上げる機会がありました。

品物の「力」を(頭でなく)肌で感じろ、古美術品は心の糧である、

と私に教えてくださった方です。

私にとっては、「初心忘るべからず」のポストカードです。

2019年02月07日