目利きのすすめ
2022年、寅年。
皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
このウェブサイトが出来上がったとほぼ同時に、このブログも開始しているのです。
さかのぼってみると、2018年12月17日。
4年目に入りました。今年最初のブログになります。
さて・・・
ウェブサイト立ち上げの後、間もなくインスタグラムも始めました。
ということで私はインスタ4年生なのですが、皆様の投稿を拝見しながら、学ばせていただいています。
ご自身のライフスタイルに上手に取り入れていらっしゃる方が本当にたくさんいらっしゃるのです。
また、常々お客様と接する機会の中で、本当にすごいと感じることがよくあります。
以前、こんなことがありました。
5枚入荷した同じ図柄の古伊万里の染付の皿。
完品もあれば、貫入の多いもの、欠けたもの、完全に割れたもの、と状態はさまざま。
あるお客様は「これが良い」と真っ二つに割れたものを選ばれたのです。
数か月経ったある日のこと。
そのお客様から、お求めいただいたその皿を見せていただく機会がありました。
すばらしく見事な金繕いで、見違えるほどの美しさでした。
お尋ねすると、繕いをされる方をご自身で探して繕いを依頼されたのだそうです。
憚られましたが敢えてその代金をうかがうと、なんと〇万円!?
なんと!同じ図柄の無傷完品の皿より、繕いの料金の方が高額ではありませんか!
どうしてあのとき、完品をお選びにならなかったのですか?
私の問いに対して、お客様はこうお答えになったのです。
これがいちばん図も色もよかったからです、と。
脱帽でした。このお客様は「目利き」だと思いました。
私よりも年齢も若く、古美術や骨董の知識もおそらくはそれほどお持ちではないようにお見かけしました。
が、品物への愛情や接し方は年齢や知識量で測られるものではありません。
目の前にある品物と正面から向き合い、枝葉末節にとらわれていないあたり、私も見習わねばと痛感した瞬間でした。
そして、そのとき心がとても温かくなったのをよく覚えています。
昨秋に新たにオンラインショップ【キズトツクロイ】をスタートさせました。
実は、この出来事も【キズトツクロイ】開始に至るきっかけだったのです。
補足となりますが、キズモノを選ぶこと、買うこと、また安価で入手することが必ずしも目利きだとは思いません。
また高価な繕いを施すことが必ずしも品物への愛情、愛着とは限らないように思います。
品物の魅力(本質)を捉える、(そして必要に応じてそれをさらに引き立たせる)
シンプルなことですが、とても素敵なことですね。
何か一石を投じるようなことができればと願いながら、少しずつ、品物のご紹介を進めています。
投稿を通じて私自身、考えを整理することに繋がっているのではと感じているところです。
本年もお付き合いいただけましたら幸いです。