うちに こんなの あったら
雨の金沢。
兼六園周辺の「文化の森」に、またひとつ繰り返し訪れたい場所が増えました。
昨年オープンした国立工芸館。
現在「うちに こんなの あったら 展」が開催されています。
ルネ・ラリックのジュエリー
ルーシー・リーのボタン
ルーシー・リーと黒田泰蔵
竹橋にあった頃から、何度か訪れていた東京国立近代美術館工芸館。
優れた品々を間近でゆっくりと鑑賞することができるのですから、北陸に住む私たちにとっては本当に喜ばしいことです。
感染予防対策で現在のところ定員制・予約制となっており、来館者数はさほど多くないとは予想していたものの本当にまばらでした。
しかも観光の方よりは専門の方といいましょうか、雰囲気がデザイナーのような方たちとすれ違う率が高かったように感じました。
驚いたことに、館内では一部を除いてほぼ全ての作品が撮影可能なのです。
プロダクトデザイナーの方でしょうか、特定のコーナーに張り付いてひたすら撮影されている方もいらっしゃいましたから。
工芸家が多く集うこの地に移転してきたのは、工芸家あるいは人・文化を育てるという点でも意義深いことですね。
黒田辰秋の長椅子。木彫「葉」(須田悦弘)とのコラボレーション
どういうわけか、私の中では東京国立近代美術館工芸館といえば富本憲吉の印象がずっと強かったのです。
今回の企画展でも館内の一角を富本作品が並んでいました。
昭和30年(1955)色絵磁器の人間国宝(重要無形文化財保持者)としてはじめて認定を受けます。
色絵磁器の研究のため、九谷にも滞在していましたし、石川県(北陸)に工芸館がやってきた一因かもしれません。
こちらは常設の「松田権六の仕事場」
「漆聖」と称えられる松田権六は金沢が生んだ「蒔絵」の名匠。
富本憲吉と同じく、昭和30年(1955)に最初の人間国宝(蒔絵)として認定されました。
この国立工芸館は、明治期の旧陸軍施設として知られる明治期の洋風建築です。
この文化の森周辺には、金沢の明治・大正にふれるレトロな建築が数多く保存されています。
今回のブログの最初の画像は旧陸軍の兵器庫。
現在はいしかわ赤レンガミュージアム(石川県歴史博物館、加賀本多博物館)となっています。
建築といえば、谷口吉生氏設計の鈴木大拙館がおすすめです。
金沢21世紀美術館(妹島和世+西沢立衛/SANAA)も見逃せません。
文化の森は美術館や文化施設が密集し、ハシゴするだけでもまる一日いや数日楽しめるエリアなのです。
うちに こんなの あったら 展、4月15日(木)までの開催です。