鬼征伐
最近、偶然出会った九谷焼の鉢。
もともとおとぎ話系の図柄にはアンテナが反応してしまうのです。
この鉢も「金太郎!」と一目で判断、終活中という蒐集家の方からお譲りいただきました。
よく見ると、たしかにマサカリがあるので金太郎なのはほぼ間違いないのですが・・・
組み合わせが、熊や動物たちではありません。なんと4人の鬼です。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、強い金太郎は実在した武士、坂田金時(の幼名)なのです。
やがて侍となり、清和源氏の流れを汲む平安時代中期の武将・源頼光に仕えることとなります。
金時は源頼光の四天王として活躍、のちに室町時代以降の御伽草子で伝説化されることとなるのです。
童子の姿で描かれているものの、坂田金時と鬼の組み合わせは、
おそらく御伽草子「酒吞童子」の一場面なのでしょう。
酒吞童子は平安時代に京に恐怖を与えた鬼たちの頭領、最強の鬼でした。
陰陽師・安倍晴明の占いによって鬼の存在を知った時の天皇、一条帝は源頼光に討伐を命じます。
頼光は四天王とともに鬼の居城、大江山へと向かうのでした。
「酒吞童子」は南北朝時代から室町時代の成立と考えられていますが、物語の時代設定は平安時代中期頃となっています。
一方、鬼や鬼退治といえば、桃太郎を連想される方のほうが多いのではないでしょうか。
桃太郎も(諸説ありますが)室町時代頃の成立と言われ、
そのモデルは古事記や日本書紀に登場する吉備津彦命 (きびつひこのみこと)だという説もあります。
大人気の『鬼滅の刃』。ストーリーの時代設定は大正時代です。
宿敵である鬼たちの始祖であり最強のラスボス、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)。
鬼舞辻無惨は鬼になる前は人間の少年でした。平安時代にまでさかのぼるそうです。
作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんは、日本の鬼伝説についてもきっとよくお調べになっていらっしゃるのでしょう。
御伽草子とも重なるような印象を受けました。
劇場版、公開初日の10月16日に観に行ってきました。
あれからもう1か月が過ぎようとしています。早いものです。