加賀の野に咲く百合

先日、用事があって久しぶりに石川県九谷焼美術館に伺ってきました。

美術館に向かう道中のこと。

加賀市内に入り、途中寄り道していると、ふと立派な百合の姿が目に入りました。

これは!と思った私は、車をいったん停め、

歩いて少し戻って、そのみずみずしい白い花をしばらく眺めていたのです。

 

美しいものが見られたと、喜びながら再び車を走らせ美術館に向かいます。

たしか吉田屋に有名な百合の図の皿があったよな・・・

グリーンの背景に映える真っ白な百合の花が、

私の記憶の中の九谷・吉田屋窯(江戸時代後期)に描かれる百合の図とオーバーラップしていました。

 

しばらくして住宅地にさしかかると、なんと群生する百合が。こんなにいっぱい。

吉田屋窯は江戸時代後期の文政年間に、現在の加賀市内に築窯されました。

今からおよそ200年前のことです。

百合はこの地の人々にとって、本当に身近な植物だったのでしょう。

おそらくは今よりもっと多くの花が咲き誇り、壮観な光景が広がっていたに違いありません。

 

九谷焼美術館に到着。

館内には、企画展示室のほかに常設の展示室として、青手の間、色絵・五彩の間、赤絵・金襴の間があります。

青手の間は、古九谷や吉田屋の作品が中心です。

ひょっとして・・・と思っていたら・・・ありました!百合の図。

黄の背景に紫の百合の花。

色の組み合わせこそ違えど、まさに先ほど目にした光景をそこに見る思いでした。

 

2020年08月24日