加賀の野に咲く百合
先日、用事があって久しぶりに石川県九谷焼美術館に伺ってきました。
美術館に向かう道中のこと。
加賀市内に入り、途中寄り道していると、ふと立派な百合の姿が目に入りました。
これは!と思った私は、車をいったん停め、
歩いて少し戻って、そのみずみずしい白い花をしばらく眺めていたのです。
美しいものが見られたと、喜びながら再び車を走らせ美術館に向かいます。
たしか吉田屋に有名な百合の図の皿があったよな・・・
グリーンの背景に映える真っ白な百合の花が、
私の記憶の中の九谷・吉田屋窯(江戸時代後期)に描かれる百合の図とオーバーラップしていました。
しばらくして住宅地にさしかかると、なんと群生する百合が。こんなにいっぱい。
吉田屋窯は江戸時代後期の文政年間に、現在の加賀市内に築窯されました。
今からおよそ200年前のことです。
百合はこの地の人々にとって、本当に身近な植物だったのでしょう。
おそらくは今よりもっと多くの花が咲き誇り、壮観な光景が広がっていたに違いありません。
九谷焼美術館に到着。
館内には、企画展示室のほかに常設の展示室として、青手の間、色絵・五彩の間、赤絵・金襴の間があります。
青手の間は、古九谷や吉田屋の作品が中心です。
ひょっとして・・・と思っていたら・・・ありました!百合の図。
黄の背景に紫の百合の花。
色の組み合わせこそ違えど、まさに先ほど目にした光景をそこに見る思いでした。