竹三題

清涼感にあふれる竹林は、みずみずしい空間。

今日は、清々しい空気を届けてくれそうな、骨董のうつわ3点をご紹介したいと思います。

いずれも竹を主題としたものです。

 

まずは、古伊万里の小さな小さな染付の猪口を。

 

染付で描かれる竹(林)は、まさに清雅。

内側には呉須が飛び散り、まるで吹墨をほどこしたかのよう。

潤んだ空気感を醸し出しています。

光に照らすと透けて見えるほどの薄いつくりも、涼しげで好ましいものです。

 

 

手のひらにのる愛らしいサイズ、竹になぞらえてかぐや姫を連想しました。

「・・・三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」

竹取物語の冒頭、竹取の翁がかぐや姫と出会う場面です。

猪口の高さは3.6cmで、三寸どころか一寸、むしろ一寸法師の背丈です。

 

次は、少し趣きの異なる色絵ののぞき猪口です。竹の節をかたどった竹節形。 

 

白い素地は鮮やかな絵付がいっそう映えるようにと、美しい乳白色をしています。

 

ところで中央の2本だけ、竹の色が異なっていることにお気付きでしょうか?

「・・・その中に、もと光る竹なむ一筋ありける。」

竹取物語の冒頭、翁が見つけた光り輝く竹。かぐや姫が登場する場面のようにも思われます。

古伊万里には、ときどき見られる「留守模様」。

主人公をあえて描かず、関連するものを表現することで主人公を暗喩するものです。

これもかぐや姫の留守模様なのかもしれませんね。

 

 

 

最後は、竹と若筍を描いた大きな平鉢です。

 

筍そのものをメインの文様として中央に描いた作品は珍しいように思います。

みずみずしい生命感にあふれた逸品です。

 

 

毎年この時期、とても美味しい、そして見事な筍料理をふるまって下さるお店があるのです。

毎年本当に楽しみにしているのですが、今年はこのコロナ禍で休業中。残念です。

代わりに、インスタグラムに投稿される数々の見事な筍を眺めて楽しませていただいているこの頃です。

 

2020年04月19日