青磁開扇香合と形物香合番付

「形物香合相撲番付表」をご存知でしょうか?

当時の相撲人気にあやかって、一覧にされた、「形物香合」と呼ばれる名物香合の格付け表です。

発行されたのは江戸時代後期の安政2年(1855)のことです。

 

 

形物香合というのは型を用いて作られた小さな蓋付の容器のことで、

動物や鳥、植物など、さまざまな意匠が取り入れられています。

その多くは中国の景徳鎮や漳州窯、あるいは東南アジアで焼かれたもので、

日本の茶人たちはその小さな蓋物を香の器に見立て、色合いや大きさ、作行のバリエーションを楽しんだのでした。

この番付表は、江戸・名古屋・京都・大阪・金沢の茶道具商と目利きたちによって作成されたと伝えられています。

唐物215種(染付85、交趾64、青磁29、祥瑞19、呉須16、宋胡録2)が東西に分けてランキングされるほか、

行事に塗物3種、頭取に和物7種、勧進元に3種(呉須台牛、紅毛2)、差添に2種(南蛮、寧波染付)と

合わせてなんと230種類の香合が登場するのです。

当時の評価や知名度を反映した名物香合の格付け一覧は、香合ブームの火付け役となり、

それ以降も今日に至るまで、香合の格付けの大きな基準となっています。

 

さて、現在ヤフオクにて開催中の小さな企画展【青磁】にて、中国・清朝の青磁の香合をご紹介しています。

 

17世紀頃のものと思われる扇面の香合で、古い木箱に、麻布に包まれて収められています。

日本で作られた箱自体も江戸時代のものでしょう。箱行きもまずまずです。

(私たち骨董商が「道具」としてものを見る時、箱もひとつの評価のポイントとなるのです。)

実は、この香合、先にご紹介した「形物香合相撲番付表」の中では「青磁 開扇香合」として紹介されているのです!

 

 

東二段目一位。前頭です。

参考資料として、昭和15年の京都美術青年会発行の『形物香合図鑑』の画像をご紹介いたします。

 

下の画像は、今回の企画展に出品中の香合です。

上の資料の画像と比べてご覧になっていただければと思います。

 

香合の画像は、ヤフオクサイトに多数掲載しております。

よろしければ、そちらもご覧いただければと思います。

 

 

2020年02月29日