小さな企画展【17世紀の有田】開催中です
古美術松山では、昨年1月からほぼ毎週、小さな企画展を開催しています。
一昨年の2018年の冬にこのサイトを立ち上げ、インスタグラムも始めました。
日も浅いこのホームページではまだ集客力もなく、インスタグラムの宣伝も兼ねて、
集客力のあるヤフオク!の場をお借りしています。
一年間継続しましたところ、本当にたくさんの皆様にご覧いただき、またオークションにもご参加いただきました。
本当にありがとうございました。
今年も引き続き、楽しいもの、珍しいもの、興味深いもの・・・いろいろとご紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
今週から2020年の第1弾【17世紀の有田】を開催しています。
出品中の中から、興味深い1点をご紹介させていただきます。
初期伊万里の皿です。1640年代~50年代頃のものと思われます。
見込に描かれるのは東屋や舟のある山水風景。典型的な「見やすい」初期伊万里です。
お詳しい方なら「どこが興味深いの?(普通の初期伊万里でしょ)」と思われるかもしれません。
まず1点目。
裏面、高台内の銘にご注目いただきたいのです。何やら文字が書かれています。
大抵の場合、「大明」と楷書体で書かれているものなのですが
同じ「大明」でも、くずした字体になっていて、珍しいものです。
その脇には「大黒●」(3文字目は解読できませんでした)とあります。
そして、2点目。
表面の山水図の窓絵にご注目いただきたいのです。
花(牡丹)でしょうか?
山水図が一般的な画風なのに対して、この花らしき文様に私は違和感を覚え、気になっていました。
しばらく時間をおいて何度か繰り返し見ていると・・・
あれ?
人の横顔に見えませんか?ほほえむ女性のようです。
花弁と人の顔を重ねて描いた、だまし絵のようにも思えます。
このようなまぎらわしい描き方、ひょっとしたら隠れキリシタンの遺物なのでは、と直感しました。
この皿が焼かれたのは、1640~50年代。将軍徳川家光のもと、幕府によって鎖国が完成します。
キリスト教は禁止、弾圧されました。そのような時代背景の中で生まれてきた皿です。
ほほえむ女性の横顔は、聖母マリア・・・⁉
厳しい迫害の中、身を潜めながら信仰を守り伝えた信者たちの思いが伝わってくるかのようです。