柳宗悦の茶

富山城を臨む富山市佐藤美術館で開催中の特別展「柳宗悦の茶 日本民藝館名品選」を見学してきました。

展示室に入って、まず目に飛び込んできたのは、朝鮮の火鉢に掛けられた大きな大きな霰釜。

江戸時代のもので、みずみずしい生命感にあふれていて感銘を受けます。

そして朝鮮半島のものを中心に茶碗が並び、個性豊かな表情を見せていました。

ポスターやリーフレットに写っている大井戸茶碗「山伏」が今回のメインなのでしょう。

さらに個性豊かな表情をもつ品々が並び、輝いていました。

茶道具に生まれたものではないけれども、茶道具に見立てられた品々を通して

柳宗悦の視点がうかがえるものでした。

 

???

あれ、展示室の奥に家具(椅子)が並んでいるではありませんか。

昭和30年代の松本のスツール。

19世紀のイギリスのラダーバック・チェアやスピンドルバック・アームチェア。

もちろん、日本民藝館に収蔵されていて然りなのですが、

茶の展覧会なのに、なぜ?

 

柳宗悦は生前に2回、茶会を催したと聞いています。

日本民藝館で茶会を催すにせよ、茶会用の設備が整っているわけではありませんから、

民藝館の所蔵品でまかなったということなのです。

なるほど、この椅子たちは、茶会で用いられたということなのですね。

後でよくよく展示室内の解説を読んでみると、本展は

第一回民藝館茶会(1955)や新撰茶器特別展(1958)等を再構成したもの、

とのことでした。

既成の茶に囚われない柳宗悦の試み。百聞は一見に如かずです。

 

大阪民藝館で2009年に「茶と美-柳宗悦・茶を想う」

日本民藝館で2014年に「茶と美 -柳宗悦の茶ー」

柳宗悦と茶をテーマに、日本民藝館の所蔵品からその足跡をたどる試みは過去にも開催されています。

もしかしたら重複する内容なのかもしれませんが

もし機会がございましたら、ぜひおすすめの展覧会です。

12/1(日)までの開催です。

 

 

2019年11月06日