柿右衛門の猪口

 

 

先代がお蒐めになったという古陶磁のコレクション。

積み重なった段ボールの数は、20~30箱ほどあったでしょうか。

無造作に新聞で包まれ段ボールに入れられた古いやきものの数々。

包んだ新聞の日付を見ると、昭和10年代、戦前の新聞でした。古いコレクションです。

磁器が中心で、伊万里や九谷、富山のやきものが多かったように思います。

中には古染付など明末以降の中国のやきものもありました。

古いコレクションを拝見する場合、思いがけず珍しい品に出会うことがあり、期待するものです。

 

上の画像は、その中のひとつ、延宝期の色絵柿右衛門の猪口です。

口に比べて底が小さな朝顔形とも呼ばれる器形で、美しいシルエット。

薄づくりでシャープな造形です。

箱から出てきたときは泥まみれ、あまりに生々しいのでモノクロ画像にしました(笑)

古いものですから実際に汚れていることが多いのですが、

ほこりや汚れも骨董のうちと言いますし、新品同様にピカピカにするのはためらわれるのですが

品物の本来の輝きを取り戻すために簡単な手入れをして、ある程度のよごれを落とすことがあります。

 

濁手とも呼ばれる、柿右衛門の柔らかく温かい肌。

汚れを拭うと、美しい乳白色が現れました。

オリジナルの色絵も美しく残っています。

 

見違えるほどに変身した柿右衛門の猪口、明日のインスタグラムに投稿いたします。

どうぞお楽しみに。

 

追記:

さっそく次に大切にして下さる方が見つかりました。

ありがとうございました。

 

2019年10月10日