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紅のカーテン

 

庭のベニバナトキワマンサクが満開です。

毎年この時期になると、ピンクの花がひとつ、またひとつと増え

今年も今、ちょうどピークを迎えています。

枝いっぱいに鮮やかなピンクの小さな花が開き、小さな葉も赤紫色になります。

 

 

庭に植えたのは5年ほど前のことだったでしょうか。

背丈も大きくなり、細かった幹もずいぶんしっかりしてきました。

枝も伸びて花や葉の数も数えきれないくらいに。

紅のカーテンは年々、密になってきています。

2019年04月30日

江戸のキュビズム

 

 

 古い木箱の中に染付の渦模様が見えて、「あれ?」 

 ぐるぐる目が回りそうな渦の文様は、けっこう好きなものです。

 外側はどんな柄かな・・・(洒落た柄だといいな・・・)と思いながらひとつ手に取ってみると・・・⁉

 

 

 江戸後期の伊万里であることは間違いないのですが、なんとも斬新なデザイン。

 器面の分割の仕方もあまり見かけたことのない、前衛的な構図です。

 これは渦で・・・これは青海波で・・・

 描かれた文様をひとつひとつ読み解いていきます。どうやら海とか波に関係しているようです。

 じゃあ、これは何だろう?濃く塗りつぶされた枝のようなものが、どうも見当がつきません。

 縦に見たり。横に見たり。何度もひっくり返してみますが、謎は解けません。

 いったん考えるのをあきらめ、頭を冷やすことにしました。

 

 そして数時間後。

 

 

 

 !!!謎は、意外とあっさり解けました。答えは「波」でした。

 伊万里のうつわによく登場する波の文様を、上下に向かい合わせて並べていただけのことでした。

 濃いダミの部分は、その波同士の合い間を塗りつぶしただけにすぎません。

 

 1つのうつわをまるごと使って、波(海)を立体的に表現しているんですね。

 口縁内側も渦模様が描かれていますし、口縁自体が波打った形状をしています。

 器面内側の白磁の部分に飛び散る呉須も、波しぶきに見立てて意図的に散らされたとさえ思うほどです。

 その発想力には感服するばかりです。

 まるでキュビズム。ピカソやブラックによって20世紀初頭に創始されたことになっていますが

 日本でも、その一世紀も前にこんな発想を抱いた人がいるのだと知り、不思議な感動を覚えました。

 

 

 約20年前、私の修行が2年目に入った4月のちょうど今頃、

 仕入れのため、主人と兄弟子とで四国に車で行った時のことです。

 初めての淡路島。初めての四国。車窓からの景色は、私にとってまるで外国(南国)に来たかのようでした。

 圧巻は、鳴門の渦潮。大興奮したのを今でも覚えています。

 

 !!!このうつわ、鳴門の渦潮かもしれないですね!

   

2019年04月18日

時のかけら

 

古美術の修行中、主人から常々言われていたのは、

「力を感じる」ことでした。

ただ、その方法を具体的に教わるわけではありません。

日々さまざまな品物と接する中で、自分なりにその感覚を

培っていくしかありませんでした。

 

ある日、兄弟子と私は主人に呼ばれました。

何か大きな失態でもあったかな、と飛んで主人のもとへ駆けつけると、

仏像の天衣の残欠が10ばかり並んでいました。

「この中から力のあるものを選べ」

突然そう聞かれ、兄弟子も私も、頭の中はフリーズです。

残欠を手に取ってみても、どれが正解なのか、全く見当もつきません。

首をかしげながら、それぞれ考えながら(半ば当てずっぽうで)一つずつ選びます。

・・・そして主人は一つの残欠を手に取って、私たちの目の前に黙って差し出しました。

「そもそも考えているようではあかん」

・・・

どんなことがあっても眠れるのが自慢であった私も、

その日のその出来事を思い返すと、なかなか寝付けませんでした。

 

「力を感じる」とは、どういうことか?

今でも私にとってのテーマであり、意識しながら品物と向き合うようにしています。

 

 

 

最近手に入れた、縄文土器のかけらです。

紅いベンガラが残り、数千年前の人々の色彩感覚がうかがえるようです。

透かしのある、みずみずしい曲線。

もとはどんな姿だったのだろうと想像をふくらませます。

手のひらにおさまるほどの断片ですが、大きなエネルギーを秘めているのを感じます。

 

 

 

こうした時のかけらを拾い集めて、皆様にご紹介しながら

自分自身も品物からのエネルギーを感じて、心の糧にできればと思っています。

 

 お買い上げありがとうございました。

 

2019年04月07日

水仙と桜

 

先日、庭にあざやかな黄色い水仙が咲きました。

毎年、水仙が庭で花開かせるのを見て春の訪れを実感しています。

東京で桜が開花した様子がニュースで流れていましたが

富山ではまだ肌寒い日があり、桜はもう少し先だろうと思っていた矢先のことでした。

近所でほころぶ桜の花を見かけ、少し譲っていただくことができたのです。

今日はちょうど遠方から来客があり、少し春らしくお迎えできることを嬉しく思いました。

 

 

昨年12月にこのホームページをスタートさせましたが

ちょうど同時期にインスタグラムも始めました。

最近はほぼ毎日何か1点ご紹介しようと投稿を続けています。

(その一方でホームページの更新が滞り気味になってしまいましたが・・・)

少しずつフォローして下さる方たちの数も増えて、その反響の大きさを日々実感しています。

今日のお客様もインスタグラムを通じてつながることのできた方で、

そのご縁に感謝しているところです。

日々の少しづつの積み重ねがこうして実を結び、花を咲かせようとしています。

今日のご縁を励みに、また明日からがんばりたいと思います。

 

2019年03月24日

片身替りの蓋物

片身替りといえば、白洲正子さんが所蔵した片身替りの盆が思い浮かびます。

このモダンな赤と黒の片身替りのデザインの漆器は、いつ頃から現れたものなのでしょう、

ただ盆をはじめ、お椀や木皿とさまざまな器種にこのデザインが取り入れられており

骨董の世界に身をおいていると、ときどき見かけることがあります。

私もこのシンプルで斬新なデザインが好きで、機会があれば入手するようにしています。

こちらは、先日、富山県内で手に入れた品です。

赤と黒の片身替りの漆器なのですが、こんなに大型のタイプは見たことがないような気がします。

存在感のある蓋付きの鉢です。喰籠(食籠とも。じきろう)と呼ばれる菓子器と思われます。

箱も失われており製作年代を特定することは難しいのですが

おそらくは明治から大正にかけての品物ではないかと推測しています。

年月を経て漆も落ち着いた風合いとなっており、その質感は骨董ならではのものでしょう。

新品の艶やかさこそ失われているものの、時を経てもなお魅力を放っています。

状態は、傷みが生じ、必ずしも良好とはいえないのですが、使用に支障をきたすほどではありません。

古いものです。多少の汚れや傷みはつきものだと受け入れて

おおらかな気持ちで楽しむのが骨董とのつき合い方かなと思っています。

次に大切にして下さる方への橋渡しができれば、なおありがたいことです。

2019年03月09日
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