味のよい肌に橙・藍・茶の3色のストライプが映え、目を引きます。
シンプルな縦縞模様のいわゆる麦藁(むぎわら)手でも
その配色や線の太細などはひとつひとつ異なり、個性が見られます。
江戸期の作としては、この橙・藍・茶の3色の組み合わせは色数の多い方で
橙があることで、色味にも格段に豊かさが増します。
また、この鉢は特に橙の線の描き方に特徴があり、面白いものです。
橙には少し太めの筆を用い、軽やかな筆運びで点を打つような描線になっています。
銅鑼(どら)のような形をしていることにその名が由来する「銅鑼鉢」は
瀬戸麦藁手では定番ともいえる器形です。
若干の上釉の剥離が見られるものの、欠けやひび割れもなく、良好な状態を保っています。
口径21.0cm 高さ5.9cm / 上釉の剥離