江戸時代後期以降の再興九谷の流れを汲んだ吉田屋窯は、諸窯の中でも最も名声があり
九谷陶磁史上、古九谷に次いで広く知られています。
吉田屋窯は加賀大聖寺の豪商、豊田伝右衛門が開いた窯で、
その屋号をとって吉田屋と称されます。
伝右衛門は豊田家歴代中最も博学多趣味の文化人。
吉田屋の製品の種類は食器から雑器まで広範囲にわたりますが
水指、香合をはじめこのような蓋置が焼かれたのも、伝右衛門の茶道への関心によるものでしょう。
吉田屋窯の焼成期間はわずか8年という短期間。
食器類に比べると茶道具はさらに数も限られ、小さな作品とはいえ貴重なものです。
緑、黄、紫、紺青の4色が用いられ、赤は用いず全体として青く見えることから青九谷と称され、
以後の加賀の諸窯では吉田屋の色調に倣った絵付が多く行われます。
底部付近の内側に角福銘があります。
長径5.7cm 高さ4.6cm / 上面にブク