穏やかな微笑みを浮かべる盛唐の如来像。その面相は理知的です。
八頭身の理想的なプロポーション。まとう衣の厚みまでが感じ取れる繊細な表現。
写実性の追求により、内面的な崇高な精神性があふれ出ています。
バランス感のある緻密な構図も見事です。
肉厚の重厚感漂う蓮台。如来像が大きく浮かび上がります。
一方、仏塔は背後にそびえるかのごとく凹凸が押さえられています。
3mmという限られた厚みの中で光と影を駆使した見事な立体表現には敬服するばかりです。
掌に収まるほどの小さな塼ですが、盛唐文化の粋が散りばめられた逸品といえるでしょう。
高さ4.1cm 左右3.1cm / 左上隅欠損