モースの日本陶器コレクション

エドワード・S・モースをご存知でしょうか?

大森貝塚を発見したアメリカ人の動物学者、と聞けばお分かりの方もいらっしゃると思います。

「お雇い外国人」として請われて東京大学の初代動物学教授に就任し、自然科学の研究・調査を行いました。

モースの大森貝塚の発見によって日本の考古学の礎が築かれることにもなりました。

 

学者としての顔をもつモースは、一方で日本陶器の大コレクターであったことでも知られています。

貝塚で発見された、貝が付着した縄文土器片との出会いがきっかけだったそうですが

明治初期の官僚であり古美術学者でもあった蜷川式胤(にながわのりたね)から日本陶器について学び、

そこから興味の幅をどんどん広げていきました。

日本美術に造形の深いフェノロサやビゲローとも親交がありましたし、

大隈重信は所蔵した全陶器をモースに贈ったといいます。

収集のために来日中に各地を訪れましたが、

アメリカへの帰途の途中で立ち寄った東南アジアやヨーロッパでも収集を行いました。

そのコレクションには、今日ではほとんど知られていない廃窯になったやきものも多々含まれています。

約5000点というモースコレクションはボストン美術館に譲渡され、

モース自身は1901年にボストン美術館の日本陶器類部長に就任しました。

世界屈指の所蔵品を誇るボストン美術館、その日本美術収蔵のルーツがモースコレクションでした。

 

さて、現在ヤフオクにて小さな企画展【豆皿・小皿】を開催中ですが

モースによって紹介されたやきものも含まれています。

「霞晴山」(かせいざん)と押銘のあるもので、今回の企画展では、小皿5枚を紹介させていただきました。

モースは、江戸後期・寛政年間に江戸四谷で焼かれたものとつづっています。

ただ「洛東霞晴山」と銘のある作品も存在し、今日では京焼のひとつであろうと考えられています。

江戸か京か。いずれにせよ、みやこの粋を感じさせる小品です。

お時間ありましたらご覧下さい。10/14(月)21時台に終了予定です。

 

 

2019年10月13日